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第11回 起業成功の10ポイント


2023年10月04日

投稿者:松永 良一

1.~あなたが持っている素材は何ですか?~〔自分の強みを把握する〕

 

事業を料理に例えれば、経営資源(人・物・金・情報)は料理を作る素材。
料理をする前にはじめることは、自分の持っている素材は何であり、何が足りないかを把握することではないでしょうか。足りないものが何か、それをどう調達するかを検証することが大切です。

 

2.~どんな事業にするんですか?~〔一人の目より百人の目〕

 

隠れた不便さや不満、困ったことなどを解消する商品やサービスを提供しそれを買う人がいればビジネスは成立します。自分の強みを活かし、どんなビジネスをしていくのか。自分ならではの視点でビジネスの切り口を探していかなければなりません。それを考える上で大切なのは、以下の点です。
①じっくり真剣に考えて検証する姿勢:どんな事業を興すのか?一朝一夕に得られるものではないことを理解しておきましょう。
②株式会社は利潤追求が本文:いくら社会貢献度の高い事業でも利潤がなければ意味がありません。企業の社会貢献は商品・サービスの提供、雇用の創出、納税、すべて利潤により成立しています。
③客観的な視点を持つ:自分の世界だけで儲かるような感覚に陥ってしまうのは、誰しも陥りやすい落とし穴です。売手・買手・世間の立場に立って考える。つまり「三方良し」の精神(理念)になっている事業計画であるかを第三者にみてもらうなどをして回避しましょう。
④分析手法による客観的視点を持つ:代表的なものには、3C分析、SWOT分析、5FORCEなどがあります。こういった分析手法を用い、客観的視点を持って事業を見てみましょう。

 

3.~市場はあるのですか?~〔買い手がビジネスを成功させる〕

 

「こんな良い製品を開発しました」その前にまず確認すべきなのは、そのサービスや商品を欲しがる人はいるか、つまり市場があるかどうかです。
また、事業の将来性や可能性に直結する市場規模や将来性の把握も重要です。市場規模が小さくても、小さい市場で特化し成功した企業は数多くあります。
大市場は、競合が多数参入してきますから、ベンチャー企業がニッチ市場を狙うのは安全策です。

 

4.~いくらで売るんですか?~〔適正な価格はターゲットが知っている〕

 

サービスや商品の適正価格の把握と設定は、誰しも頭を抱える大きな課題です。
価格設定には、大きく2通りの考え方があります。
1つ目は、cost plus pricing。
製造コスト(仕入コスト)に利益を上乗せして決定する方法ですが、買う側の意向を無視してしまうと市場価格から大きく外れ、モノが売れなくなってしまうので注意が必要です。
2つ目は、value based pricing。
これは、市場価値で価格決定する方法です。買う側が「これぐらいの値段なら買いたい」と思う値段と、売る側の「これぐらいのお金はもらいたい」と思う接点で価格決定する方法です。
どんなに優れたものやサービスでも買う側が「ここまでのお金を払う価値はない」と感じれば売れませんし、売る側に儲けがなければ成立しません。
ですから、価格決定は、市場の需給バランスと競合他社を交互に見て決めることが重要になります。

 

5.~競合先はどこですか?~〔良い市場には敵がいる〕

 

魅力ある市場には必ず競合先がいます。特にサービスや物販など参入障壁が低く、儲かる事業であれば必ず新規参入があると覚悟しておく必要があります。
現在、競合先がいなくても、参入された場合、「採算が悪化し、市場から退出」という結果にならないよう競争して優位性は保てるか、事業自体が成り立つか、という点を事前によく考えておきましょう。

 

6.~どうやって売るんですか?~〔成功の影に緻密な販売戦略あり〕

 

どうやってこれを売っていくのか? 販路はどうするのか?
「商社を使います」「代理店を使います」「インターネットで売ります」など簡単な一言で片付く問題ではありません。
販売量がないので取り合ってもらえないケースや儲けがほとんど残らなかったというケース、また逆に「大手に取られてしまう」と慎重になりすぎせっかくのチャンスを逃してしまったケースなどもありますので商社や代理店など既存のルートの活用を検討する場合、互いのメリットが成立する現実的な方法を提案する必要があります。

 

7.~起業に当ってのリスクは何ですか?~〔ここが弱い、だからどうする?〕

 

自分の強みを活かすと同時に弱みに関して目をつぶらないこと。
むしろ、よく分析し、策を講じていくことが成功の明暗を分ける結果となります。小さなリスクも対応いかんで倒産の危機まで発展しかねないベンチャー企業の場合は、より厳しく捉えておきましょう。
突発的なリスクに加え、自社のウィークポイントを分析し、最悪の事態を想定してその対処法を考えておくこと(コンティンジェンシー・プラン)が、成功する企業の秘訣です。

 

8.~いくらかかるの?そのお金はあるの?~〔最小のコストで最大の効果〕

 

事業の仕組みが大体できたら、「いざ、開業!」と行きたいところですが、始めるにあたって幾らかかるのか把握することが必要です。
事務所を借り、人を雇う、設備機械、事務機器、などざっと考えてもお金がかかるものばかりです。また、開業してすぐに売上や利益が上がるわけではありませんので、当座の運転資金も必要でしょう。
それをすべて洗い出してみて、さあ、幾らかかるのか?というのが、いわゆる事業化資金です。
お金の調達方法には、自分の預貯金や親や親戚縁者から借りられる資金、金融機関の活用等、が考えられますが、リスクを少なくするためには少ない資金で、最大の利益が上がるように、いかに努力するかが重要で、それは、自分のお金でも、他人のお金でも同じです。

 

9.~それで、本当に儲かるんですか?~〔儲からないならやめなさい〕

 

ベンチャーキャピタリストなど投資家は企業の将来つまり、未来の収益を期待して投資します。将来収益を上げ、企業価値も増え、株式も値上がりして株式公開まで辿り着いて欲しいと願っています。
ですから、一体いくら儲かるのか、本当にこの事業で儲かるか、利益は継続して計上できるのか、また「利益が出て儲かっているけど、増加運転資金でキャッシュフローはマイナスです。」という黒字倒産の危機がないかどうか、などは大変気がかりな点です。
融資や投資で集めた莫大な資金も、事業で儲けがあがらなければ、アッという間に無くなってしまいます。「信者」(しんじゃ)と書いて「儲け」(もうけ)と読む。自分の提供する商品の信者を作れるか、安定顧客を掴めるかということが「儲け」と、大きく関係しています。

 

10.~この事業計画は実現できるんですか?~〔企業は人なり〕

 

事業計画は実現できなければ、絵に描いた餅にすぎません。
数多くのケースを見てくると事業計画を実現できるかどうかは、社長の経営手腕1つに左右されるケースが多いことに気づきます。
投資家が見る点は、経営者がその会社を事業計画書のように発展させる力を持っているかどうかで、投資を決定する際も事業計画書の内容以上に重要視される点です。
「社長の器以上に企業は大きくならない。」と言われますが、それは、社長個人にできることに限りはあっても部下や取引先、など支援してくれる仲間を惹きつける魅力によって、何百倍の力を結集し事業を成功へ導く力にできるからに他なりません。
人から信頼を得られる経営者は、金融機関や取引先、従業員からも同様に思われていると思いますので、その経営者は「成功への大きな後ろ盾を持っている人」と言えます。まさに、「企業は人なり」ということです。




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