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第14回 顧客ターゲットの考え方について


2023年12月11日

投稿者:豊福 滋信

中小企業診断士の豊福と申します。
私は、個人や法人問わず、様々な事業の立案・運営に携わってまいりました。その経験から、事業を成功させるためには、顧客として狙うべきターゲットを明確にすることが非常に大事だと感じています。顧客ターゲットの考え方について、私見をまとめました。

【 なぜ、顧客として狙うべきターゲットを明確にすることが大事なのか 】

世の中には様々な商品・サービスがあふれており、消費者は似たような商品・サービスの中から、自身のニーズに沿うものを選択し、購入しています。
大企業や有名ブランドであれば、テレビコマーシャルやインターネット広告などに多額の資金を投入し、多くの消費者に知ってもらい、購入してもらうことが可能です。

一方で、中小企業が手掛ける商品・サービスの場合はどうでしょうか。販促に多くの資金を投入することは難しいため、似たような商品・サービスの中から消費者が選んでくれる可能性はどうしても低くなります。
では中小企業はどのように戦うべきでしょうか。
結論から申しますと、顧客が求めるニーズに丁寧に寄り添った商品・サービスを作り上げ、初めは少人数でもよいので熱心な顧客から支持を得て、こつこつとファンを増やしていくことが重要だと考えます。

皆さんの中には、多数の顧客に向けて初めから大々的に売り出したい!という思いがあるかもしれません。
例えばオンライン通販サイトなどを活用すれば新たな顧客を開拓することが可能です。
一方で、オンライン通販においても、一度に多くの消費者に自社商品のことを知ってもらうためには多額の販促費用がかかりますし、初めは売上が伸びたとしても、熱心なファンが増えない限り、その後のリピート購入には繋がりにくいというケースがほとんどです。

一見遠回りのようですが、中小企業にとっては、顧客に寄り添い、まずは熱心なファンを獲得することが必須だと考えます。熱心なファンは常連客になってくれますし、SNS・ネット上での口コミや紹介などで新たな顧客を呼び込んでくれるため、販促費用を抑えられるというメリットもあります。これは、オンライン通販サイトを活用する場合も同様です。

さて、「顧客に寄り添う」というフレーズが何度か出てきましたが、消費者には色々なタイプが存在しニーズも異なるため、全ての人に寄り添うことは困難です。
一方で、顧客として狙うべきターゲット層をある程度絞ると、そのターゲットのニーズをきちんと把握することができます。ニーズが明確になれば、そのニーズにしっかり寄り添った商品・サービスを提供することができ、その結果、熱心なファンを増やすことが可能となります。ファンを獲得するために、顧客として狙うべきターゲットを定めるよう意識しましょう!

【 どのように顧客ターゲットを定めるのか 】

仮に個人顧客を対象にする場合は、ターゲットとしたい顧客の、年齢・性別・子供の有無・居住エリア・職業などを明確にすることをお勧めします。

イメージを掴んでいただくために、以下のような飲食店の例で説明します。(架空のお店です。)

・中華料理店にて10年近くの調理経験あり。独立して飲食店を新規創業する予定。
・駅近くの商店街に立地し、昼は主婦、小さな子供のいる母親、学生、夜はサラリーマン、学生の人通りが多い。

人通りなどを考慮して、主な顧客ターゲットを以下のとおり設定してみます。

・昼:30~50代の主婦や育児中の母親
・夜:帰宅中の、単身または家族のいるサラリーマン

ターゲットを明確にすると、ターゲット毎の詳細なニーズについて、例えば以下のとおり把握することができます。

・昼:主婦や育児中の母親・・・個人だけでなく、グループでも食事やお茶を楽しみたい。食事は色々な料理をシェアしながら味わいたい。友人に勧められるような珍しく美味しいデザートが食べたい。子供も一緒に楽しめる料理・環境だとありがたい。

・夜:帰宅中のサラリーマン・・・夕食ついでにちょい飲みしたい。少ない分量で複数種類のつまみを食べたい。栄養のある定食を食べたい。家族へのお土産に料理を買って帰りたい。テイクアウトして自宅でゆっくり食べたい。

上記で定めたターゲットとニーズを踏まえて、事業内容を考えてみましょう。

・(昼)中華料理の知識をもとに、においや辛さなどに配慮した女性受けする料理や、珍しいデザート、子供が喜ぶお子さまランチなどのメニューを開発。主婦の集まりやママ友グループにも対応できるよう、グループ席を複数設置。女性や子供に優しい備品やサービスを意識し、お店のインスタグラムなどでも女性向けに情報発信。

・(夜)酒のつまみになる味付けや栄養を意識した料理を開発。サラリーマンの個人客を取り込むため個人席を多く設置し、酒と料理で高い客単価を目指す。栄養価の高い週替わり定食も用意し、テイクアウトや、お土産用に女性・子供に好まれる飲茶も販売。

いかがでしょう。このように顧客ターゲットを明確にした飲食店は、他店にはない強みを発揮して独自路線を歩むことができ、熱心なファンや常連層を獲得できるかもしれません。
上記はあくまでイメージを持っていただくための一例であり、顧客ターゲットの定め方には正解があるわけではありません。
迷った際には、我々NPO経営支援ネットワークが相談に乗りますので、気軽にご一報ください!

以上




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