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第25回 人材の採用と、自社の特色・強みについて
2024年11月13日
投稿者:豊福 滋信
中小企業診断士の豊福と申します。
9月の経営のヒントでは、「人材育成」をテーマとした投稿を行いました。従業員の育成は重要ですが、事業拡大や、技術継承、組織の新陳代謝といった面で、人材の新規採用もまた重要です。
今回は「採用」をテーマにしつつ、売り手市場の中で、どうすれば求職者から選ばれるかという視点も含め、述べていきたいと思います。
前回の投稿でもお伝えしたとおり、日本全体で人材が不足し、各企業の採用意欲が高まっているため、新規採用の難易度は年々上がっています。
皆さんも「いい人材が集まらない、採用が難しい」とお悩みではないでしょうか。
一方で、労働者の価値観の多様化などにより、以前よりも転職市場は活気づいています。
こうした状況で、中小企業が採り得る手立てはないのか、一緒に考えてみましょう。(今回は正社員の中途採用を中心にお話ししたいと思います。)
1 求める人材像を明確にするまず、採用にあたってどのような人材を求めるのか明らかにしましょう。
ここが不十分だと、企業と求職者がうまくマッチせず、内定を辞退される、入社後に早期退職してしまう、といったことが起きてしまいます。
また、人材像が不明瞭なまま採用活動を進めると、自社が必要としていない人材まで応募してきて、余計な時間を要することにもなります。
求める人材像として整理すべき項目は、例えば以下が挙げられます。
・年齢層、学歴など
・従事予定の業務に関する経験、専門スキル、資格など
・人物面(自社と適合する意欲、姿勢、人間性など)
他にも様々な条件があると思いますが、会社として将来ありたい姿を念頭に、必要な人材が具体的にイメージできるよう、できるだけ細かく設定した方が良いです。
ただし、理想の条件を全て満たすようなスーパーマンは稀であり、絶対に譲れない要件、妥協可能な要件を決めておくことが重要です。
対象者の年齢などにもよりますが、入社後にしっかりと教育することを前提に、採用活動に臨みましょう。
2 求める人材に合わせた採用手法を選ぶ大きく3種類の採用手法があります。求める人材像や、自社の状況に合わせた手法を選択しましょう。
それぞれの特長は以下のとおりです。
① 求職者からの応募を待つ・自社ホームページやSNSへの掲載、ハローワーク、求人サイトなどに登録し、幅広い求職者からの応募を待つ。
・費用は無料または比較的低額。一方で、待ちの姿勢であるため多数の応募は見込めず、スキルや経験など求める人材像とかけ離れた人材からの応募もあり得る。
② 自社から求職者へアプローチする・人材紹介エージェントや、ダイレクトリクルーティングを活用し、求める人材像にマッチする人材を狙って採用活動を行う。
・費用は成功報酬型で想定年収×○%といった形式が多く、比較的高額となるが、スキルや業務経験などを指定して求める人材を狙ってアプローチできることが魅力。
③ 従業員や知人などに人材を紹介してもらう・従業員などに、自社と適合する人材を紹介してもらう。
・費用は基本的に無料(従業員に報酬を支払うケースもあり)。
一方で、多数の紹介は見込めず、経験・スキル等、求める人材像に合致する人材が現れるまで長期間待つ可能性もある。
(場合によっては、紹介してもらった手前、不合格にしにくい、というデメリットあり)
多くの会社では、③の手法を効果的に実施しつつ、採用の緊急度に応じ、一定のコストを投じて①または②を併用する形が望ましいと思います。
どの手法であっても、最初に「求める人材像」を明確に設定することが重要です。
求める人材像や事業内容などによって採るべき手法は異なってきますので、悩んだ際にはぜひ我々にご相談ください!
3 求職者から選ばれるために求める人材像を明確化し、適切な採用手法を検討した後は、求職者にPRするための自社の特色・強みを整理しましょう。
労働者の売り手市場である現在、企業が人材を選ぶのではなく、人材が企業を選ぶ時代となっています。自社が求める人材から興味を持ってもらえるか、振り向いてもらえるかが重要となります。
そのために、求める人材が何を欲しているか、採用で競合する企業はどこかを把握し、自社の特色・強みをしっかりと打ち出して、ホームページや募集要項、求職者との面談の際にしっかりと魅力を伝えていく必要があります。
なお、求職者にPRできる特色・強みは、決して給与水準や派手な福利厚生だけではありません。
会社・社長の理念や事業内容をはじめとして、やる気に繋がる人事制度、人材育成の仕組み、従業員同士のコミュニケーション、職場の雰囲気、勤務時間、休暇制度、勤務地など、給与水準以外の制度や職場環境も大きな会社に負けない強い武器になります。
また、大企業にはない、従業員と経営層の距離が近いこと、迅速な意思決定ができることなどもPR材料になります。
さて、今回は中小企業における新規採用のポイントについて述べました。
最後に述べた自社の理念や効果的な人事制度、働きやすい環境づくりなどは、既存の従業員のモチベーションや帰属意識を向上させることにも効果的であり、会社全体の生産性向上や離職防止に大きく寄与するものです。
自社の新規採用や、従業員の定着・生産性向上に関する悩みをお持ちの方、我々と一緒に知恵を絞りながら効果的な施策を検討しませんか。ご相談をお待ちしております!