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第34回 【経営者・マネージャー必見】職場のギスギス解消!感謝が見える『ドーナツ理論』で社員の定着率を上げる方法
2025年08月07日
投稿者:梅﨑 実
はじめに|なぜ「良い職場」が崩れてしまうのか
近年、人手不足は深刻さを増し、
「採用しても社員が長く続かない」という悩みを抱える経営者や管理職が増えています。
私も調剤薬局の店長時代に同じ経験をしました。
売上も利益も右肩上がりなのに、職場の雰囲気は悪化。
最終的にはベテラン1名を残して全員退職──。
いったいなぜ、こんなことが起きてしまったのか?
その原因を解き明かしてくれたのが、「欠けたドーナツ理論」でした。
欠けたドーナツ理論とは?
人はなぜ「満たされている部分」を見落とすのか
欠けたドーナツ理論とは、
「人は不足や欠点に注目しやすく、満たされている部分を軽視する」という心理現象です。
これは心理学でいうネガティビティ・バイアス(Negativity Bias)に基づいているそうです。
人間の脳は危険や不足に敏感に反応します。
これは生存本能に由来しています。
そのため、自然と「うまくいっていない部分」に意識が向かいやすいのです。
職場で顕著になる理由
職場では業績や成果が重視されるため、
・達成できたこと → 「次はもっと良くしよう」
・達成できなかったこと → 「改善が必要だ」
と、不足部分ばかりに注目が集まります。
実際、私もそうでした。
患者さんに喜ばれることや、数字的な成果を求めるあまり、「改善できる点」=不足部分ばかりに目が行ってしまったのです。
その結果、社員は
「努力を認められない」と感じ、モチベーションを失ってしまったのです。
その状態が長く続いたため、大量退職という事態につながってしまいました。
「やって当たり前」の心理と悪循環
「やって当たり前」と扱われる職場では、社員の心は次のような流れで冷めていきます。
1. 貢献が認められない2. 自分の存在意義が感じられない3. 仕事に対するモチベーションが低下4. 必要最低限の行動しかしなくなる5. 離職を考える承認や感謝が欠けると、この悪循環は加速します。
承認と感謝を“見える化”する方法
武田信玄から学んだ「即時承認」
戦国武将・武田信玄は、家臣が良い働きをすると、その場で褒美を渡して労ったといわれます。
私はこのエピソードをヒントに、現代の職場で使える仕組みを作りました。
感謝を伝える10円商品券制度・
1枚10円で社内の商品と交換可能
・
毎日配る枚数を決め、必ず携帯・良い行動を見つけたら
その場で渡すこのルールにより、私は「良いところ探し」を習慣化し、承認と感謝を日常的に伝えられるようになりました。
例えば患者さん対応が丁寧だったときは、こんな感じでした。
「さっきの患者さんへの対応、とても良かったね!
患者さんが困っているところをすぐ気づいて声掛けしてくれたから、安心された様子だったね。
〇〇さんが患者さんをよく見てくれているのが分かりました。
ありがとう!」
こんな感じで券を渡すと、「困ってそうだったから声掛けて良かったです!」と、嬉しそうに笑顔で答えてくれました。
また、同僚のミスをフォローしてくれたときも、こんな風に10円券を渡しました。
「会計のミスにすぐ気づいて対応してくれて助かった!
ありがとう!
お金のミスは信頼を損ねるし、返金などの手間もかかるしね」
すると、「私も助けてもらうことがあるし、お互い様です!」と気持ちの良い返事が返ってきました。
時には、面白い話で職場を盛り上げてくれた人にも渡したりして。
話がウケた上に10円券ももらえて、さらに盛り上がりました。
社員の反応と職場の変化
この制度を始めてから、社員は「自分の行動が見てもらえている」と感じるようになったのだと思います。
前向きな雰囲気が広がり、自然と助け合う雰囲気が生まれました。
この取り組みを導入してから、数年間退職者ゼロを達成しました。
他の施策より効果が高かった理由
もちろん、他の施策も並行で実施していました
。 しかし、この取り組みの効果が大きかったと考えています。
その理由をAIに尋ねてみたら、こんな返事が返ってきました。
「承認と感謝は、社員の
心理的報酬を直接満たします。
給与や制度改善といった物理的施策は大切ですが、効果が現れるまで時間がかかり、長続きしないこともあります。
一方、
「見てもらえている」実感は即効性があり、内発的動機づけを強く刺激します。」
なるほど!
確かに心理的報酬が満たされたというのはありそうです。
簡単な仕組みだけれど、効果が大きかったのもうなずけます。
まとめ|感謝の習慣が離職を防ぐ
欠けた部分を直すことは大切ですが、それだけでは人は動きません。
「良い部分を見つけて承認し、感謝を伝える」──この習慣が、職場を根本から変え、離職を防ぎます。
今日から、感謝を“見える化”する仕組みを始めてみませんか?
それが、
離職ゼロへの第一歩になります。