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第40回 「売れる会社」と「売れない会社」の違い
2026年05月21日
投稿者:今井 武史
~価格競争から抜け出す“選ばれる仕組み”とは~
1.なぜ同じ商品でも「売れる会社」と「売れない会社」に分かれるのか同じ地域で、同じような商品やサービスを扱っていても、「いつもお客様が多い会社」と「なかなか売上が伸びない会社」に分かれることがあります。
その差は、単純に商品の品質だけで決まるわけではありません。
もちろん、品質は重要です。しかし現代は、単に「良いものを作れば売れる」時代ではなくなっています。
市場にはモノや情報が溢れており、消費者は多くの選択肢を持っています。その中で選ばれるためには、「顧客にとっての価値」を分かりやすく伝える必要があります。
売れない会社ほど、「自分たちが売りたいもの」を中心に考えがちです。
一方、売れる会社は「お客様が何に困っているか」「どんな気持ちになりたいのか」を起点に考えています。
つまり、売れる会社は“商品”を売っているのではなく、“問題解決”や“体験”を提供しているのです。
2.売れない会社に共通する特徴(1)商品の説明ばかりしている売れない会社は、商品のスペックや機能を詳しく説明する傾向があります。
例えば、
・「国産素材を使用」
・「最新設備を導入」
・「高性能」
・「創業50年」
など、自社目線の情報発信になりやすいのです。
しかし、お客様が知りたいのは、「その商品によって自分にどんなメリットがあるのか」です。
例えば飲食店であれば、「国産鶏使用」よりも、
・「柔らかくジューシー」
・「家族で安心して食べられる」
・「特別感がある」
といった“体験価値”の方が伝わりやすくなります。
(2)「誰向けの商品か」が曖昧「幅広い人に売りたい」と考えるほど、実際には誰にも刺さらなくなります。
例えば、
・若者向けなのか
・高齢者向けなのか
・子育て世代向けなのか
・健康志向の人向けなのか
が曖昧な店は、発信内容もぼやけやすくなります。
現代は市場が成熟し、ニーズが細分化しています。そのため、「みんな向け」より「特定の誰か向け」の方が強みを出しやすい時代です。
(3)価格競争に巻き込まれている売れない会社ほど、「安くしないと売れない」と考えがちです。
しかし、値下げは短期的には集客効果があっても、利益率を圧迫し、体力勝負になりやすくなります。
特に中小企業は、大企業のような大量仕入れや大量販売が難しいため、価格競争では不利になりやすいのです。
3.売れる会社は「価値」を売っている(1)商品ではなく“体験”を提供している売れる会社は、「モノ」そのものではなく、その先にある価値を売っています。
例えば、スターバックスは単にコーヒーを販売しているわけではありません。
・居心地の良い空間
・リラックスできる時間
・おしゃれな雰囲気
・“自分らしさ”の演出
など、「体験価値」を提供しています。
そのため、コンビニコーヒーより高価格でも、多くの人に支持されています。
(2)ストーリーを活用している近年は、「何を売るか」だけでなく、「なぜそれを作っているのか」が重視されるようになっています。
例えば農産物でも、
・生産者の想い
・地域性
・栽培方法
・苦労話
・歴史
などを伝えることで、単なる“商品”から“共感される商品”へ変化します。
特にSNS時代は、「共感」が購買理由になるケースが増えています。
4.事例:飲食店の高付加価値化ある飲食店では、以前は「チキン南蛮定食」という名称で販売していました。しかし価格競争が激しく、周辺店舗との差別化が難しい状況でした。
そこで、
「宮崎県産地鶏の自家製タルタル南蛮御膳」
へ名称変更を行い、
・地元食材
・手作り感
・特別感
・高級感
を前面に打ち出しました。
さらに、
・木製プレートへの変更
・盛り付け改善
・SNS映えする写真
・限定メニュー化
などを実施した結果、価格を上げても注文率が向上しました。
ここで重要なのは、「原価」ではなく、「価値の見せ方」が変わった点です。
同じ商品でも、伝え方によって顧客の感じる価値は大きく変化します。
5.SNS時代は「人」が見える会社が強い現在は、消費者が購入前にSNSや口コミを確認する時代です。
そのため、売れる会社は「情報発信」を重視しています。
特に効果的なのは、
・スタッフ紹介
・製造風景
・開発秘話
・お客様事例
・ビフォーアフター
など、「人」が見える発信です。
例えば地方の小規模菓子店でも、
・職人の製造風景
・地元食材へのこだわり
・家族経営の温かさ
などをInstagramで継続発信した結果、県外から注文が増えた事例もあります。
現代は、大企業のように広告費を大量投入しなくても、SNSによって中小企業が全国へ発信できる時代になっています。
6.中小企業こそ「選ばれる理由」が重要大企業は、
・資本力
・広告力
・知名度
・大量仕入れ
で勝負できます。
しかし中小企業には、中小企業ならではの強みがあります。
例えば、
・地域密着
・小回り
・専門性
・接客
・独自性
・ストーリー
・人間味
などです。
重要なのは、「自社ならではの価値」を明確にすることです。
「何でもできます」よりも、
・○○専門
・地域特化
・高品質路線
・健康志向
・女性向け
など、特徴を明確にした方が選ばれやすくなります。
7.まとめ ~“売れる仕組み”を作る発想へ~売れる会社と売れない会社の違いは、単純な商品力だけではありません。
売れる会社は、
・顧客視点で考え
・価値を伝え
・共感を生み
・リピートにつなげる
という「売れる仕組み」を作っています。
一方、売れない会社は、
・商品説明中心
・値下げ依存
・ターゲット不明確
・自社目線
になりやすい傾向があります。
現代は、「安いから売れる」時代ではなく、「価値が伝わるから選ばれる」時代です。
中小企業や小規模事業者こそ、自社の強みや地域性、人間味を活かし、“選ばれる理由”を作ることが重要になるでしょう。