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第6回 SDGsで経営革新!


2023年07月27日

投稿者:日下部 清


1.今こそ必要な「生き残り続ける経営」の計画づくり


長いコロナとの闘いの期間に日々の生活態度・生活習慣も大きく変化してしまい、消費者への提案内容や提案スタイルを大きく見直さざるを得なくなってきました。また、この間に離職・転職が増えた上に働き方の意識も変化してきて、どの業界においても従業員の雇用確保が基金の喫緊の経営課題になってきています。
企業が生き残り続けるために環境や社会の変化を強く意識して経営革新に取り組む重要性が益々高まっていますが、経営リスクを回避するとともに新たなビジネスチャンスを獲得して持続可能性を追求するためのツールとして、SDGsの活用が注目を集めています。
SDGsは国際社会が「今の世界が抱える課題」を選び、その課題解決を「人類と地球に極めて重要」として国連で採択された「持続可能な開発目標」です。2030年を目指して明るい未来を作るための 17 のゴールと 169 のターゲットを規定しており、ビジネスの世界での「共通言語」になりつつあります。

 

2.SDGsを活用して持続可能な企業を目指そう!


SDGsは個人団体を問わず簡単に参画できる社会貢献活動ですが、若者層を中心に「地球や地域のためになること」を意識し「より良い未来が期待できそうな商品やサービス」を提供している企業を応援しようと考える人々は着実に増えています。ビジネスでSDGsに取り組む方法を発見し実践していくことは、自社を持続可能にして商売を拡大させる大きな可能性を秘めていると言えます。
SDGsのゴールとターゲットを参考にして目標社会の理想像を描き、理想像から逆算して自社の「持続可能な」目標設定と具体的な事業計画の策定に活用することができます。SDGsには「こういう社会にしたい」のヒントが書いてあり、「社会が企業に求めていること」として読めば経営リスクのチェックリストにもなります。
SDGsのゴール・ターゲットをよく読むと自社の取組とのつながりに気づきます。そこから自社の強みは何であるか?を改めて見直しする過程で、示された課題を解決できる自社の潜在能力に気づくことができます。
「自社だからこそできる社会貢献」を考えて当社ならでは経営ビジョンの策定に活用することをお勧めします。

 

① SDGs が達成された世界をイメージする
② 未来のマーケットを予測し、未来から解決すべき課題をバックキャスティング(逆算)する。
③ 自社の経営理念・事業目的を再確認し、自社の強みを活かして解決に取り組めるSDGs ゴールを絞り込む。(例えば、目標8「働きがいも経済成長も」)
④ 目標に関連する自社の取り組み課題を設定し、具体的な行動計画とKPI(目標達成への業績評価指標)を設定して実行していく。マネジメントに組み込み、PDCAを実践しながら改善していく。
⑤ 目標・課題・行動計画の設定には従業員も参加して取組目標を共有化する。従業員も働きがいを感じて自発的に発言・活動するようになり職場が明るくなるなどの効果を期待することができる。

 

3.中小企業での「SDGsで経営革新!」推進のポイント


(1)自社が行っているSDGs の貢献活動を見つけて簡単な行動から始める
SDGsは特別なことではなく、意識していなくともあなたの会社も既に何らかの社会課題解決につながる行動を行っている可能性は高いです。既に通り組んでいるSDGsを探すことは、あなたの会社の隠れた魅力を見つけ出す作業とも言えますし、SDGsの価値を体感して活動を継続していくモチベーションになります。
中小企業の場合には頭でっかちにならず、「できることをやればいい」の気持ちで、「あまり考えずにとにかくやってみること」「ハードルを限界まで下げてスタートすること」の態度が大切です。

 

(2)解決すべき課題を絞って目標を設定し解決策を考える
「SDGs ゴール○○に取り組みます」という宣言は事業として実行する際には曖昧過ぎて方向性が見いだせません。小さな企業では、SDGsに関係しそうな事業をあれもこれもと考えるのではなく、自社の強みとなる一つの柱を軸にして自社で取り組める範囲の社会貢献を具体化していく方法がベストです。
SDGsにはあらゆる分野における社会の課題と長期的な視点でのニーズが詰まっています。あなたの会社が取り組むべき課題を見つけるには、SDGsのゴールやターゲットから自社にとって本当に解決したい課題に絞って取組目標を設定する考え方が大切です。具体的に「自分たちができるSDGs的な取組は何だろう?」と考え試行錯誤する過程で、必ず自社や商品の魅力を高める気付きを深めていくことができます。
カギとなる要因を特定し自社で取り組む目標を設定出来たら、それを自社の強みやリソースを使ってビジネスを通じた有効な解決策が出せそうかどうか?を鋭く追及してみてください。

 

(3)「儲け」と「社会貢献」が両立できるビジネスモデルをつくる
「エシカル(倫理的)消費」に関心が深まるなど、多くのお客様にとって経済価値に加えて社会価値がサービスを買う際の選択基準として重視されるようになってきています。
自社の業種の中身をより細分化して考え、社会貢献目線で強みを深堀りしていくと「見逃していたニーズ」を発見することができ、それを解決できる新らしい商品やサービスのアイデアを考え出すことができます。
「儲け」と「社会貢献」を両立させて「循環サイクル」として回し続け、成長し続けることのできるビジネスモデルを探求しすることこそ「SDGsで経営革新!」の醍醐味です。

 

(4)顧客に“刺さる”「提供価値」を考える
多くの消費者の価値観が「モノ(平均品質レベル以上の)」を求めることから「(モノを使った結果で)どんな喜び体験ができるか?」を重視する方向に変化してきています。
提供する商品やサービスで消費者に「どのような感動体験を提供できるのか?」を考え続け、我社ならではの新しい「提供価値」を模索しながら新しいサービス形態を発見していくことが大切です。
自社ならではのビジネスモデルを作ることは中々難しいことですが、大切なポイントは自社の強みと弱みを深堀りしてできるだけ「自分が持っている武器で勝負する」こと、及び「足りない部分を補う方法」を考え続ける事です。事業計画の策定にはN-Netsの中小企業診断士が支援しますので、積極的に相談してください。

 

(5)粘り強い取り組みで共感し協力してくれるファンを増やしていく
SDGsの目標17は「パートナーシップで目標を達成しよう」であり、支援者等との連携を強調しています。
新しいビジネスモデルを成功させるためには、じっくりと時間をかけて共感し協力してくれるファンを増やしながら事業を成長させていく取組みが不可欠であり、時間がかかる事を覚悟しておく必要があります。
自分の経営理念と合致したビジネスモデルに自信を持ち、自社の取り組みを積極的に情報発信し続けていく、そのことにより共感してもらえるファンを少しづつ増やしていく、粘り強い努力が何よりも大切です。

 

【参考資料】
●「小さな会社のSDGs実践の教科書」:青柳仁士(著)、(株)翔泳社
●「儲かるSDGs」:三科公孝(著)、(株)クロスメディア・パブリッシング
●「SDGs経営」:松木喬(著)、日刊工業新聞社




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